カット / コピー / ペースト
カット、コピー、ペーストコマンドを使い、書類内あるいは書類間でオーディオデータを移動させることができます。これらのコマンドはテキストエディタと同様な動作をします。アプリケーションはオーディオデータを保持できる "ペーストボード" にトラックを保存します。コピーコマンドは選択したオーディオをペーストボードに置きます。カットコマンドは、書類から選択部分を削除することを除けば、コピーコマンドと同じことを行います。ペーストコマンドは、編集中の書類にペーストボードにあるオーディオを挿入します。ペーストしようとする書類でオーディオを選択していない限り、上書きすることはありません。編集している書類中に選択部分があれば、その部分のオーディオをペーストボードのオーディオで置き換えます。
ペーストコマンドについては、いくつか知っておくべきことがあります。まず、複数のオーディオトラックをコピー & ペーストできますが、ペースト時には点滅する挿入ポイントや選択部分がどこにあるかに注意してください。注意を怠ると思いがけない結果となることがあります。ペーストコマンドを選択した時、オーディオに選択部分があれば、これがまず削除されます。次にペーストボードにあるオーディオが、削除されたオーディオのあった場所に挿入されます。ペーストボードのオーディオがひとつのトラックだけの場合は、オーディオは選択したトラックにそのままペーストされます(選択したトラックとは、挿入ポイントか選択部分がある最初のトラックです)。ペーストボードのオーディオが 2 つ以上のトラックを含む場合、それぞれのトラックにオーディオを挿入し、必要な場合にはトラックを書類に追加します。
これは Sound Studio の前バージョンとは異なる動作です。Sound Studio の前バージョンはひとつあるいは 2 つのトラックを操作するようデザインされていました。しかし本バージョンでは 3 つ以上のトラックを扱えます。古いバージョンではすべてのトラックが互いに同期を保つよう設計されていました。このためオーディオの挿入や削除はすべてのトラックに対して行われました。本バージョンでは、オーディオを挿入する必要のある最小数のトラックのみが影響を受けます。たとえばシングルトラック(モノラル録音)のオーディオを 2 トラック(ステレオ録音)の書類にペーストした場合、トラック 1 のオーディオだけが新しいオーディオに対応し移動します。すなわち挿入ポイント以降はステレオの同期が失われてしまいます。このような場合には、より詳細なペースト処理が行える "ミックスペースト" コマンドを用います。
次に注意しなければならないのは、サンプルレートの異なるファイル間でオーディオデータを移動する場合です。オーディオは再サンプルされ、ピッチと継続時間(デュレーション)とは同じになります。しかしサンプルレートが異なる場合には、再サンプルを行うために数秒間、大きなデータではそれ以上の時間を要します。
3 つ目に注意しなければならないのは、このペーストボードは独自のもので、他のアプリケーションからは利用できないということです。データを他のアプリケーションに移動するには、適当な形式のオーディオファイルにいったん保存してから、そのアプリケーションで開いてください。